\これを知らずに解体すると、罰せられる!?/

令和3年4月1日から、
アスベストに関する法令等が変わりました。

法改正について知ろう!
どの法律が変わるのか?

大気汚染防止法の改正

令和2年6月5日に、建築物等の解体等工事における石綿(アスベスト)を厳格に管理するため、「大気汚染防止法の一部を改正する法律」が公布されました。これは一部の規定を除き、公布の日から起算して1年を超えない範囲内において政令で定める日から施行されます。

石綿障害予防規則の改正

令和2年7月1日に、石綿障害予防規則の一部が改正する法令が公布されました。 大気汚染防止法の改正と同様に、改正法は一部の規定を除き、公布の日から起算して1年を超えない範囲内において政令で定める日から施行されます。

法改正実施の流れ

令和3年4月1日 改正大気汚染防止法・改正石綿障害予防規則の実施
令和4年4月1日 事前調査結果の報告
令和5年10月1日 調査資格所有者のみ調査可能に

ササッと概要を知りたい方必見!

1分でわかる、改正石綿則のポイント

こう変わった!

「改正大気汚染防止法」「改正石綿障害予防規則」

The first

1.「全ての」石綿含有建材へ規制対象が拡大

改正前

石綿含有成形板等(飛散レベル3)は規制の対象外。

改正理由
不適切な除去による石綿の飛散が発生していたため。

建 材 例
トイレ等の内装材

改正後

全ての石綿含有建材を規制対象に。

The second
2.飛散レベルや含有の有無に関わらず「全ての」レベルで報告が必要に

改正前

飛散レベル1・2に該当の場合のみ届出の対象。

改正後

一定規模*1以上の建築物等について、飛散レベルや含有の有無に関わらず都道府県等への報告が必要。

調査に関する記録の作成・保存の義務付け。

The third
3.「国が定める資格者」による調査、確認が必要に

改正前

資格要件なし

改正後

「建築物石綿含有建材調査者」等の一定の知見を有する者による書面調査、現地調査、作業終了の確認が必要

The forth
4.作業基準遵守徹底のため、直接罰の創設

改正前

指導されて従わないと罰せられる『間接罰』のみ。

改正理由
短期間の工事の場合、命令を行う前に工事が終わってしまっていた。

改正後

「直接罰」が追加された。

隔離等をせずに吹付石綿等の除去作業を行った場合等、自治体の決まりにより罰せられる。

The Fifth
5.立入検査の機会が増加

改正前

飛散レベル1・2に該当する建材のみ、届出が必要だった。そのため、届出のない物件は把握できず、検査に入りにくい状況だった。

改正後

全ての建材が報告の対象になる(一定規模*1以下を除く)ため、みなした建材を適切に扱っているかなど、検査に入りやすくなる。

まとめ

  • 石綿含有建材はどのレベルでも調査が必要に!
  • 調査には資格が必要
  • 罰則の機会が増える

もっと詳しく知りたい!という方のために…

除去工事についての法改正のPOINT!

アスベストに関する法令の知識は深まりましたか?ここからは、更に詳しく知りたい!という方のために、具体的な法改正の内容を掘り下げていきます!

The first

1.事前調査・分析調査等について

(全ての規定が施行される令和5年10月1日以降の最終的な条文番号を記載しています。)

建築物、工作物又は船舶の解体等の作業を⾏うときは、あらかじめ、解体等対象建築物等について、
⽯綿等の使用の有無を調査することが必要です。

※1 船舶は、鋼製のものに限ります。

※2「解体等の作業」とは解体又は改修の作業のことで、封じ込め、囲い込みを含みます。

事前調査は、全ての材料について設計図書等の文書を確認する方法及び目視により確認する方法により行うことが必要です。

※事前調査で石綿等の使用の有無が明らかとならなかったときは、分析調査を行うことが必要です。ただし、石綿等が使用されているものとみなして法令に規定する措置を講ずるときは分析調査を省略できます。

※構造上目視により確認することが困難な材料は目視が可能となったときに事前調査を行うことが必要です。

以下の場合等で要件に該当するときは、所定の文書等を確認する方法で事前調査を行うことができます。

・過去に事前調査に相当する調査が行われている場合

・船舶の再資源化解体の適正な実施に関する法律に基づく「有害物質一覧表確認証書」等の交付を受けた船舶

・着工日が平成18 年9 月1 日以降である建築物、船舶、施設等

建築物の事前調査は、次の者に行わせることが必要です。(上記3の場合は除きます。)

種別 調査できる対象物

・特定建築物石綿含有建材調査者

・一般建築物石綿含有建材調査者

・令和5 年9 月までに日本アスベスト調査診断協会に登録された者

すべての建築物

・一戸建て等石綿含有建材調査者

一戸建ての住宅、共同住宅の住戸の内部

建築物の事前調査は、次の者に行わせることが必要です。(上記3の場合は除きます。)

・厚生労働大臣が定める分析調査講習を受講し、修了考査に合格した者

・(公社)日本作業環境測定協会の「石綿分析技術の評価事業」でA ランク、B ランクの認定分析技術者

・(一社)日本環境測定分析協会の「アスベスト偏光顕微鏡実技研修(建材定性分析エキスパートコース)修了者」

・(一社)日本環境測定分析協会に登録されている「建材中のアスベスト定性分析技能試験(技術者対象)合格者」

・(一社)日本環境測定分析協会に登録されている「アスベスト分析法委員会認定JEMCA インストラクター」

  • 事前調査・分析調査を行ったときは、所定の事項の記録を作成し調査終了日から3年間保存 することが必要です。
  • 解体等の作業を行う作業場には、調査終了日、事前調査・分析調査を行った部分、材料ごとの石綿等の使用の有無及び石綿等が使用されていないと判断した根拠等の概要を、労働者が見やすい箇所に掲示 することが必要です。
  • 石綿使用建築物等解体等作業を行う作業場には、上記掲示を行うとともに、事前調査の記録の写しを備え付けることが必要です。

次のいずれかの工事を行おうとするときは、石綿等の使用の有無に関わらず、あらかじめ電子システムにより、事前調査結果の概要等を所轄労働基準監督署長に報告することが必要です。

・解体部分の床面積が80 ㎡以上の建築物の解体工事
・請負金額が100 万円以上の下記の工作物 の解体工事又は改修工事

・請負金額が100 万円以上の建築物の改修工事

  • ・反応槽、加熱炉、ボイラー、圧力容器
  • ・配管設備(建築物に設ける給水・排水・換気・暖房・冷房・排煙設備等を除く)
  • ・焼却設備
  • ・煙突(建築物に設ける排煙設備等を除く)
  • ・貯蔵設備(穀物を貯蔵するための設備を除く)
  • ・発電設備(太陽光発電設備・風力発電設備を除く)
  • ・変電設備、配電設備、送電設備(ケーブルを含む)
  • ・トンネルの天井板
  • ・プラットホームの上家
  • ・遮音壁、軽量盛土保護パネル
  • ・鉄道の駅の地下式構造部分の壁・天井板

※様式第1号により報告することもできます。

※複数の事業者が同一の工事を請け負っている場合は、元請事業者が報告義務を負います。


The second

2.その他の改善点

建設業等で次の仕事を開始しようとするときは、工事開始の14 日前までに所轄労働基準監督署長に計画届を提出することが必要です。今回の改正で、従来作業届の提出が必要だったレベル2の作業も、計画届の対象となりました。

・建築物・工作物・船舶に吹き付けられている石綿等の除去・封じ込め・囲い込み
(石綿等が使用されている仕上げ用塗り材を除きます。)

・建築物・工作物・船舶に張り付けられている石綿等が使用されている保温材・耐火被覆材等の除去・封じ込め・囲い込み
(石綿等の粉じんを著しく発散するおそれのあるものに限ります。)

*改正により従来の作業届の提出は基本的に不要となります。但し、計画届を提出すべき業種は、建設業と土石採取業に限られているため、これら以外の業種が作業を行う場合には、計画届でなく作業届を提出することが必要となります。

  • 石綿除去等のために隔離した作業場所については、除去等の作業開始後速やかに、集じん・排気装置の排気口からの石綿等の漏えいの有無を点検することとされていましたが、集じん・排気装置の設置場所変更など、何らかの変更を加えたときにも同様の点検が必要 となりました。
  • 石綿除去等のために隔離した作業場所については、作業開始前に前室が負圧に保たれているか点検することとされていましたが、作業中断時にも点検が必要 となりました。
  • 石綿除去等のために隔離した作業場所の、隔離を解くときには十分湿潤化することが必要でしたが、これに加え、次の者が除去の完了の確認 をすることが必要となりました。

・当該除去作業の石綿作業主任者

・事前調査を実施する資格を有する者(建築物に限る)

石綿含有成形品(スレート、ボード、タイル、シートなど)の除去は、切断・破砕等以外の方法により行うことが必要となりました。(技術上困難な場合は除きます )。


やむを得ずけい酸カルシウム板第1種の切断・破砕等をするときは、ビニルシートなどにより作業場所を隔離し、常時湿潤な状態に保って作業をすることが必要となりました。(隔離場所を負圧に保つ必要はありません。)

石綿含有仕上げ塗材を、電動工具(ディスクグラインダー、ディスクサンダー)で除去するときは、ビニルシートなどにより作業場所を隔離し、常時湿潤な状態に保って作業をすることが必要となりました。(隔離場所を負圧に保つ必要はありません。)


※常時湿潤な状態に保つ措置には、剥離剤を使用する方法が含まれます。

※高圧水洗工法、超音波ケレン工法等の場合は、作業場所の隔離は不要です。

「石綿含有仕上げ塗材」とは

セメント、合成樹脂等の結合材、顔料、骨材等を主原料とし、主として建築物の内外の壁又は天井を、吹付け、ローラー塗り、こて塗り等によって立体的な造形性を持つ模様に仕上げる材料としてJIS A 6909 に定められている建築用仕上塗材のうち、石綿等が使用されているものをいいます。

石綿等の切断等の作業等を行う際には、湿潤な状態にすることが原則とされてきましたが、これが著しく困難なときは、除じん性能付き電動工具の使用など、石綿粉じんの発散防止措置に努めることが必要となりました。

石綿使用建築物等解体等作業を行ったときは、石綿則第4 条第1 項の作業計画に従って作業を行わせたことについて、写真等の記録とともに所定事項を記録し、作業を終了した日から3年間保存することが必要となりました。


記録を作成するため必要な場合には、記録の作成者や発注者の労働者に、適切な呼吸用保護具と作業衣を着用させて、隔離された作業場所に立ち入らせることができます。

石綿等の粉じんを発散する場所において常時作業に従事する労働者については、1ヵ月を超えない期間ごとに作業の記録を作成し、これを作業を離れた日から40年間保存することとされています。その際の記録すべき項目に、事前調査・分析調査の結果の概要、上記(6)の記録の概要、保護具等の使用状況等が追加されました。

※出典:愛知労働局「石綿解体・改修工事の事前調査の規制等が強化されました」(令和2年10月)

この法令を守ることで、建物の使用者と近隣住民の健康、作業員の安全を守ることに繋がります。

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